一人暮らし1年目の夏、僕は無知だった。
ごみの日もまともに熟知していない僕にとってごみ出しは苦痛であり、それは明日の天気予報を見ずに洗濯物を外に干しているようなものだった。
一人暮らししてから間もないこともあり、生ごみの処理が疎かになっていた。
ゴミ箱を買うのもめんどくさかったので、ゴミ袋をそのまま広げて入れる方式をとっていた。実家もこの方式だったからだ。
異変
異変に気がついたのはゴミ箱についたゴマのような粒だった。
それは少しずつ、しかし着実に数を増やしていった。
それがコバエの卵だとわかるのに時間はかからなかった。
彼らは交尾から産卵、ふ化に至るまで10日くらいで済んでしまうらしい。しかも1日に卵を30個も生むらしい。
つまり、クリスマスにセックスしたら正月明けには立派な成人が30人生まれてしまうのだ。
少子化問題を解決するにはぴったりだが、これがコバエでは正直困る。
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新兵器
コバエと格闘する日々の中で、新兵器を投入することを決意した。
コバエホイホイである。
コバエホイホイはターゲットが多くいるところにそっと置くだけで、まるで魔法のようにコバエを捕まえてくれる優れもの。
もう何も心配する必要はないぞ。これからはコバエを必死に手でつぶそうとしなくてもこいつがすべてを解決してくれる。なぜならこいつは「コバエホイホイ」だからだ。
その日以来、ゴミ袋に取り巻くコバエの数を観察するようになったのだが、何かがおかしい。コバエは確かにホイホイされているのだが、数が減っていない。
ホイホイの数が足りなかったのだろうか。僕はもう1つホイホイすることに決めた。
ホイホイの矛盾
ツインホイホイの威力は凄まじく、明らかにホイホイされているのだが、あまりコバエの数が減っていない。ホイホイはペテン師だったのか。
そこで気がつくホイホイの矛盾。
「これ、外から虫をおびき寄せてないか??」
ゴミにたかる虫をホイホイするのをいいのだが、明らかに外の虫もホイホイしているのだ。
これでは部屋に不法侵入している虫を撃退する本来の目的が逸れてしまう。
僕は根本的な部分から見直すことにした。
ホイホイを捨て、ゴミ箱を買い、食後に食器をかたずけ、水周りを清潔に保ち、ゴミの日を正確に把握し、僕は清潔な男に生まれ変わったのだ。
それ以来コバエはほとんど見なくなり、外からホイホイすることもなくなった。
最後に
一人暮らしをしている諸君は是非とも虫に注意してもらいたい。
ホイホイは信用しすぎないほうが良い。